米国株投資で人気の「高配当ETF」。なかでも VYM・SCHD・HDV は、投資家の間で“鉄板”ともいえる存在です。
「どれも高配当で似ているのでは?」と思うかもしれませんが、実は中身や性格は大きく異なります。
- VYM:安定感が魅力
- SCHD:増配力が魅力
- HDV:高利回り&守りが魅力
それぞれ強みと弱みがあり、投資スタイルによって最適な選択肢は変わります。
本記事では、株価推移や増配率、組入銘柄の特徴まで徹底比較。あなたにピッタリの高配当ETFを見つけるヒントにしてください。
目次
1. 各ETFの概要と特徴
VYM(Vanguard High Dividend Yield ETF)
- 設立:2006年
- 組入銘柄数:約400(大型高配当中心で分散)
- 配当利回り:おおむね 2.5〜3.5%(市場状況で変動)
- 性格:分散性が高く「安定した配当+値上がり期待」を両立しやすい王道型
購入方法(日本)
- 米国上場ETF(VYM)を国内ネット証券の米国株取引で直接購入可能(例:SBI証券)
- 日本円・少額から購入したい場合は、国内投信(楽天・VYM=楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド)を利用可能(100円単位で積立可)

ETFで直接購入すると「リアルタイム売買」「NISAでの手数料優遇」などのメリット、投資信託は「少額投資」「円建て」「積立・ポイント連携」が便利です。
SCHD(Schwab U.S. Dividend Equity ETF)
- 設立:2011年
- 組入銘柄数:約100(配当の持続性・財務健全性を重視)
- 配当利回り:概ね 3〜4%(変動あり)
- 性格:増配力や配当の持続性を重視。長期でインカム成長を期待する投資家に人気
購入方法(日本での注意点)
- 国内では米国ETFの直接購入が難しい場合があるため、楽天証券やSBI証券でSCHDを主要投資対象にした投資信託を利用
- 楽天証券:楽天・SCHD(高配当株式・米国ファンド)
- SBI証券:SBI・SCHD 米国高配当株式ファンド
- SBIなど米国株・ETFの取扱が充実している場合は、米国市場で直接購入可能



直接購入か国内投信かの違い。国内投信は円建てで積立可能、新NISAの成長投資枠対象にもなります。
HDV(iShares Core High Dividend ETF)
- 設立:2011年
- 組入銘柄数:約75〜100(モーニングスターの配当フォーカス指標等に基づく)
- 配当利回り:おおむね 3.5〜4.5%(比較的高め)
- 性格:高利回り&ディフェンシブ寄り(エネルギー・ヘルスケア比重高め)。短期的な配当重視だが、セクター偏りリスクあり
購入方法(日本)
- 米国ETFとして主要ネット証券で直接購入可能(例:SBI証券)
- 国内投信で円建て・少額投資可能な商品がある場合は各社の投信ラインアップを確認
購入ルートまとめ
| ETF | 米国ETF購入 | 国内投信購入 |
|---|---|---|
| VYM | SBI証券・楽天証券などで直接購入可 | 楽天VYMなど |
| HDV | 米国ETFとして直接購入可 | iシェアーズ 米国高配当株式インデックス・ファンド |
| SCHD | 日本では直接購入が難しい場合あり | 楽天・SCHD、SBI・SCHD 投信で間接投資 |
2. セクター比率の違い(参考)
VYM
- 銘柄数:約400
- 分散度:非常に高い
- 主要セクター
- 金融:約20%(JPモルガン、バンク・オブ・アメリカ)
- ヘルスケア:約15%(ジョンソン・エンド・ジョンソン、ファイザー)
- 生活必需品:約13%(P&G、コカ・コーラ)
- エネルギー:約10%(エクソンモービル、シェブロン)



銘柄数が多く分散性も高いため、安定的な配当と株価成長を狙える王道ETF。
SCHD
- 銘柄数:約100
- 分散度:中程度
- 主要セクター
- 情報技術:約25%(ブロードコム、アプライドマテリアルズ)
- 生活必需品:約18%(ペプシコ、コカ・コーラ)
- ヘルスケア:約17%(アムジェン、アッヴィ)



増配力に優れた厳選高配当株。将来のインカムゲインを重視する投資家向け。
HDV
- 銘柄数:約75〜100
- 分散度:やや低い(セクター偏重型)
- 主要セクター
- エネルギー:約30%(エクソンモービル、シェブロン)
- ヘルスケア:約20%(アッヴィ、メルク)
- 通信:約15%(ベライゾン、AT&T)



高配当+守り重視。短期安定配当向けだが、セクター偏りが大きく景気や業界変動の影響を受けやすい。
セクター比率比較(目安)
| セクター | VYM(約400) | SCHD(約100) | HDV(約75〜100) |
|---|---|---|---|
| 金融 | 約21.9% | 約19.6% | 約5.5% |
| ヘルスケア | 約12.5% | 約15.6% | 約23.0% |
| 生活必需品 | 約11.6% | 約18.6% | 約19.1% |
| エネルギー | 約8.7% | 約4.4% | 約22.2% |
| 情報技術 | 約14.4% | 約9.0% | 約8.2% |
| 工業 | 約12.0% | 約12.3% | 約2.4% |
| 消費者裁量品 | 約7.5% | 約11.0% | 約5.5% |
| 公共事業 | 約5.9% | 0.0% | 約8.9% |
| 通信サービス | 約2.9% | 約4.5% | 約3.9% |
| 素材 | 約1.9% | 約1.7% | 約1.3% |
| ユーティリティ | 約5.9% | 0.0% | 約8.9% |
3. 株価の推移と平均成長率
10年間の年平均リターン(CAGR)
| ETF | 年平均リターン(CAGR) | 備考 |
|---|---|---|
| SCHD | 約12.38% | 配当込みリターン(分配金再投資) |
| VYM | 約12.31% | 配当込みリターン(分配金再投資) |
| HDV | 約9.74% | 配当込みリターン(分配金再投資) |







SCHDが最も高いリターン、次いでVYM、HDVの順。安定性はVYMが最も高い。
4. 配当と増配率(将来のインカムゲイン)
直近配当利回り(2025年目安)
| ETF | 配当利回り | 分配回数 |
|---|---|---|
| VYM | 約3.0% | 年4回 |
| SCHD | 約3.2% | 年4回 |
| HDV | 約4.1% | 年4回 |
過去の増配率(年平均)
- VYM:約6%
- SCHD:約9%
- HDV:約6%



増配ETFは長期保有で配当が雪だるま式に増加。株価下落局面でも安定収入源として活用可能。
将来のインカムゲインのイメージ(100万円投資)
- 初年度年間配当
- VYM:約3万円
- SCHD:約3.2万円
- HDV:約4.1万円
- 10年後(過去増配率ベース)
- VYM:約5.4万円
- SCHD:約7.4万円
- HDV:約7.3万円



SCHD・HDVは増配率が高く、長期保有で将来の配当成長が大きい
VYMは利回りはやや低めだが、分散性が高く安定配当
再投資戦略で配当+増配が資産成長に貢献
5. 今後の見通しと投資戦略(VYM+SCHD積立)
今後の見通し
- 米国高配当ETFは、増配傾向や米国株市場の中長期成長に支えられ、長期安定配当が期待可能
- 短期株価は金利・インフレ影響あり。増配ETFは配当安定でリスク分散効果あり
- セクター分散効果
- VYM:金融・情報技術中心(景気敏感株寄り)
- SCHD:生活必需品・工業・ヘルスケア中心(防御的)
投資戦略例
VYM+SCHDの2本立て積立
- セクター分散で景気変動リスクを抑制
- 配当+増配で複利効果を最大化
- VYM:安定配当確保
- SCHD:増配率の高い配当成長享受
- 配当再投資で長期資産加速
- 積立比率で調整可能
- VYM多め(6:4):安定重視型
- SCHD多め(6:4):増配重視型
- シミュレーション(毎月5万円×10年)
- 元本600万円 → 約850~870万円に成長
- 年間配当:約42~46万円
| 年度 | 投資元本累計(万円) | VYM評価額 | SCHD評価額 | 合計評価額 | 年間配当額(円) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1年目 | 60 | 24.8 | 37.5 | 62.3 | 20,571 |
| 2年目 | 120 | 51.0 | 78.1 | 129.1 | 44,892 |
| 3年目 | 180 | 78.9 | 121.9 | 200.7 | 73,520 |
| 4年目 | 240 | 108.4 | 169.2 | 277.5 | 107,090 |
| 5年目 | 300 | 139.6 | 220.2 | 359.9 | 146,328 |
| 6年目 | 360 | 173.0 | 275.4 | 448.2 | 192,064 |
| 7年目 | 420 | 207.9 | 335.0 | 542.9 | 245,243 |
| 8年目 | 480 | 245.2 | 399.3 | 644.5 | 306,945 |
| 9年目 | 540 | 284.7 | 468.8 | 753.5 | 378,400 |
| 10年目 | 600 | 326.5 | 543.8 | 870.4 | 461,014 |
6. まとめ
VYM・SCHD・HDVの特徴
- VYM:金融・情報技術中心、銘柄数多く分散度高く安定感
- SCHD:生活必需品・ヘルスケア中心、増配率高く将来配当成長が魅力
- HDV:エネルギー・ヘルスケア重視、高配当だが分散度はやや低め
株価・配当シミュレーション
- 過去10年の配当再投資+増配で資産は元本以上に成長
- VYM+SCHDの積立例:元本600万円 → 10年で約850~870万円
- 年間配当:約42~46万円、将来の安定収入源に活用可能
投資戦略ポイント
- セクター分散と銘柄構成の重要性
- 積立比率調整で安定重視型 or 増配重視型に対応可能
- 長期積立で資産形成+将来のインカムゲインを同時に狙える
ETF比較表
| 項目 | VYM | SCHD | HDV |
|---|---|---|---|
| 設立年 | 2006 | 2011 | 2011 |
| 銘柄数 | 約400 | 約100 | 約75〜100 |
| 利回り(目安) | 2.5〜3.5% | 3.0〜4.0% | 3.5〜4.5% |
| 平均増配率(10年) | 約5〜7% | 約9〜12% | 約0〜3% |
| 株価推移(過去10年リターン) | 年率6〜8%程度 | 年率10%前後 | 年率5〜6%程度 |
| セクター分散 | 金融・ヘルスケア・生活必需品など幅広い | 情報技術・生活必需品・ヘルスケア | エネルギー・ヘルスケア・通信偏重 |
| 上位銘柄例 | JPモルガン、JNJ、P&G、エクソン、バークシャー | ブロードコム、アムジェン、IBM、ペプシコ、TI | エクソン、シェブロン、アッヴィ、ベライゾン、メルク |
| 特徴 | 分散性高く安定感抜群 | 増配率高く将来のインカム拡大に期待 | 高配当+守り重視だがセクター偏りあり |





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