「KDDI株、今買うべき?」安定感抜群の通信大手として知られるKDDI(9433)ですが、今年はauやUQ mobileの料金プランが値上げされ、収益への影響が注目されています。
株主還元も手厚く、過去23期連続増配の実績を誇るKDDI。値上げによる利益改善は株価や配当にどのように反映されるのか?
この記事では、株価水準、配当、ROE、過去の増配実績に加え、今回の値上げの影響までわかりやすく解説し、「買いか売りか」の判断材料を整理します。
1. KDDIってどんな会社?
KDDIは国内通信大手で、携帯キャリア「au」「UQ mobile」「povo」を展開。契約数は6,000万件超で国内トップクラス。通信事業を基盤に金融・エネルギー・法人DX・海外事業など多角化を進め、安定収益と成長余地を両立しています。2025年は圏外でも通信可能な新技術「au Starlink Direct」を導入し、顧客満足度と契約維持率の向上も期待されています。
KDDIの企業概要(2025年3月期)
項目 | 内容 |
---|---|
時価総額 | 約9兆円 |
主力事業 | 通信(au・UQ mobile・povo)、金融、エネルギー、法人DX、海外事業 |
契約数 | 6,000万件超(国内トップクラス) |
売上高 | 約6.2兆円(連結) |
営業利益 | 約1.2兆円 |
純利益 | 約7,300億円 |
営業利益率 | 約20% |
ROE | 約13% |
自己資本比率 | 約40% |
フリーキャッシュフロー | 潤沢 |
新技術 | 「au Starlink Direct」:圏外でもメッセージ送受信可能 |

KDDIは通信基盤を軸に多角化で収益を拡大。高い利益率・ROEと健全な財務体質を持ち、圏外通信技術など先進サービスで顧客満足度向上と契約維持率強化も期待されます。
業績の特徴
- 売上・利益は右肩上がりで安定
- 営業利益率は20%前後と高水準
- 通信料金の値下げ圧力はあるが、楽天モバイルの影響は限定的



大幅成長は見込みにくいものの、利益率は高く安定的。ディフェンシブ銘柄として長期投資に適した業績構造といえるでしょう。
3. 株主還元(配当・自社株買い)
- 2026年3月期予想配当:年間80円
- 株価2,523円ベースで配当利回り:約3.17%(TTMベース:約2.87%)
- 自社株買いも積極的で株主還元姿勢は強化中
- 2002年度以降、23期連続増配(2025年3月期実績)を達成中。2026年3月期に80円が実施されれば、24期連続増配となります。
- 連続増配の結果、過去23年で配当額は約53倍に拡大(2002年3月期:約1.4円 → 2026年3月期予想:80円)



長期的に株主還元姿勢が堅実で、23期連続増配の実績は安心材料。今後も持続的な配当成長を期待しやすく、インカムゲイン重視の投資家に魅力的です。
4. 成長戦略
- 5G/6Gインフラへの投資
- 金融事業(au PAY・銀行・証券)の拡大
- 法人向けDX支援
- 海外IoT・モビリティ事業への注力



通信一本足からの脱却が進み、非通信事業の比率拡大が課題。収益源の多角化で安定性と成長性を両立する戦略が見られます。
5. 投資リスク
- 政府による通信料金の引き下げ要請
- 楽天モバイル・ソフトバンクなど競合激化
- 5G/6G投資による巨額負担
- 国内人口減少による契約数の伸び悩み



規制や競争の影響は避けられず、特に料金引き下げ圧力は利益に直結。国内市場縮小も考えると安定一辺倒ではありません。
6. 今回の値上げについて
値上げの内容
- au(2025年8月1日〜):「使い放題MAX+」などで 月額+110〜330円
例:7,458円 → 7,788円(+330円) - UQ mobile(2025年11月1日〜):各プランで +110〜220円、ただしデータ容量を1〜2GB増量
- 追加価値サービスも導入
- 「au Starlink Direct」:圏外でもメッセージ可能- 「au 5G Fast Lane」:混雑時でも快適通信
- 「au海外放題」:15日分無料で海外利用可
背景
- 5G/6G投資やインフラ維持コストの増加
- 値下げ競争から、持続可能な収益モデルへの転換
- au・UQ間のユーザー移動を抑制し、顧客を囲い込む狙い
投資への影響
- プラス要因:収益改善、新サービスによる差別化、顧客維持率の向上
- マイナス要因:価格敏感層の顧客離れリスク、他社も追随する可能性



収益維持のための値上げはプラス要素ですが、価格競争の激しい業界で利用者離れをどう防ぐかが今後の注目点です。
私個人的な意見としては、今後のインフレも考慮すると長期的に見ればプラス要因と見ています。
7. 株価水準(2025年9月5日時点)
- 株価(終値):2,523円(前日比 −12円)
- 52週レンジ:2,227円〜5,311円
- 予想配当利回り:約3.17%
- TTM配当利回り:約2.87%
- ROE:約13.19%



株価はやや落ち着き、配当利回りは3%前後。ROEは高水準で収益性を示す。割安感は薄いが安定投資先として十分評価可能。
8. まとめ|KDDI株は買いか?
- 安定収益+増配傾向
- 配当利回り3%前後
- 成長性は限定的だが守りのポートフォリオに適合
- 短期での値上がり期待より、長期投資向き



KDDIは爆発的な株価成長を期待する銘柄ではありません。
長期保有で安定配当を得たい投資家にとっては「買い」候補です。
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