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インベスコ世界のベストは買うな!銀行が進める理由と毎月分配金の真実

Invesco warning

投資信託の中でも人気の高い「インベスコ 世界のベスト」。
銀行や証券会社で“おすすめ”と紹介されることも多く、分配金の高さに惹かれて購入を検討している方も多いでしょう。
しかし、この商品には特別分配金の仕組みや高い手数料といった、見逃せない注意点があります。

本記事では、「インベスコ世界のベスト」をS&P500などのインデックス投資と比較しながら、
本当に長期の資産形成に向いているのかをわかりやすく解説します。

結論から言えば、将来の資産形成が目的ならインデックス投資の方が有利です。
一方で、高齢の方や毎月のキャッシュフロー(分配金)を重視する人にとっては検討の余地がある商品でもあります。

インベスコ世界のベストを買っていいのか迷っている」方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

目次

第1章|インベスコ世界のベストとは?人気の理由を整理

「インベスコ 世界のベスト(正式名称:インベスコ 世界厳選株式オープン)」は、世界中の優良企業を厳選して投資するアクティブ型ファンドです。運用戦略としては、成長・配当・割安性を重視する銘柄を選別してポートフォリオ構築を行っています。 Invesco+2Invesco+2

このファンドは、特に「毎月分配型」の設定があること、そして“高い分配金”をアピールできる点が人気を集めている背景にあります。

高い分配金が魅力で人気上昇

本ファンド(インベスコ 世界のベスト〈為替ヘッジなし・毎月決算型〉)は、分配金の多さで注目を集めています。
直近では、2025年9月24日の決算で1万口あたり150円の分配金が支払われました。

基準価額が約8,900円前後だったことを踏まえると、
単純計算で 毎月約1.7%の分配金(=年換算で約20%前後)に相当します。
これは多くの公募投信と比べても非常に高い水準です。

📈 分配金の実績(2025年9月時点)

区分内容
決算頻度毎月決算
直近分配金(2025年9月)150円/1万口
年間分配金合計(2025年)約1,800円/1万口
設定来累計分配金約18,550円/1万口
直近基準価額約8,900円
推定分配金利回り年率換算 約20%前後

このように、「毎月分配」「利回りが高い」**という特徴がわかりやすく、
特に「定期的にお金が入る安心感」を重視する投資家から支持を集めています。

銀行や証券会社の窓口では
年金のように受け取れる」「現金を手元に置きながら投資できる」といった説明が多く、
退職世代や年金生活を意識した層にとって、キャッシュフロー重視型の投資商品として魅力的に映りやすい構造です。

構成銘柄は?投資対象は世界の大手企業中心 ─ 上位銘柄を見てみる

このファンドは、世界各国(主に先進国)に上場する企業の中から、数十銘柄を厳選してポートフォリオを構成します。

実際の組入銘柄上位10などを見てみると(2025年8月末時点等のデータ参考)

順位銘柄名国/地域業種/セクター組入比率(目安)
13iグループ(3i Group)イギリス金融サービス約 5.70% APL Wealth Advisor+1
2ロールス・ロイス・ホールディングス(Rolls-Royce)イギリス資本財・航空など約 5.50% APL Wealth Advisor+2みんかぶ(投資信託)+2
3カナディアン・パシフィック・カンザス・シティ(Canadian Pacific Kansas City)カナダ鉄道・物流など約 5.60% APL Wealth Advisor+2みんかぶ(投資信託)+2
4マイクロソフト(Microsoft)米国情報技術約 5.10% Invesco+4APL Wealth Advisor+4みんかぶ(投資信託)+4
5テキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments)米国半導体・電子部品約 4.40% APL Wealth Advisor
6コカ・コーラ・ユーロパシフィック・パートナーズオランダ飲料・生活必需品約 4.00% APL Wealth Advisor+2みんかぶ(投資信託)+2
7ASMLホールディングオランダ半導体装置約 3.90% APL Wealth Advisor
8AIAグループ(AIA Group)香港保険・金融約 3.80% APL Wealth Advisor+1
9イースト・ウエスト・バンコープ(East West Bancorp)米国銀行/地域金融約 3.30% APL Wealth Advisor
10ロンドン証券取引所グループイギリス金融サービス約 2.70% みんかぶ(投資信託)+2Invesco+2

このように、必ずしも“誰もが知る大型ハイテク株だけ”という構成ではなく、銘柄選定に特徴があることがうかがえます。
上位銘柄の比率を見ると、1社あたり 3~6%程度で分散しており、合計で 40~50銘柄程度に分散投資するという方針が公表資料でも語られています。

このような銘柄構成は、「成長」「配当」「割安性」の観点で選定を行う運用スタイルを反映したものと言えます。

毎月分配型とインデックス型の運用成果の違い

インベスコ世界のベストを語るなら、分配金込み(トータルリターン)での成績を見ないと片手落ちです。
なぜなら、基準価額だけ見ても実際の利益を把握できず、分配金という現金還元を含めなければ“実利”はわからないからです。

では、最新のデータをもとに、世界のベストとS&P500インデックスを比べてみましょう。

● 世界のベスト:最近のトータルリターン

  • 「インベスコ 世界厳選株式オープン(毎月決算型)」の トータルリターン(1年) は 約 16.57% (2025年9月末時点)というデータがあります。 
  • また、過去 5 年間の騰落率では、本ファンドは +197.25% を記録しており、年率換算でかなり高い水準を実現しています。 
  • ただし、短中期では騰落率が分類平均より劣ることもあるなど、すべての期間で常に上回るわけではありません。 

このように、分配金を含めると決して“成績ゼロ”というわけではなく、むしろ比較的高めの実績を示す時期もあります。

● S&P500 インデックス:標準的な比較対象

  • S&P500 指数は、過去10年で年平均約 11.11% 程度のリターンを出したという例があります。 
  • インデックス型ファンドは低コスト・自動再投資型が多いため、税金の先送り効果が複利を押し上げる要因になります。
  • ただし、米ドル/円の為替変動も影響を与えるため、円ベースでの結果は為替リスクにも左右されます。

● 比較して見えること:長所と短所が見える対比

項目世界のベスト(毎月決算型)S&P500(インデックス)
1 年トータルリターン約 16.57% APL Wealth Advisor過去10年平均例で約 11.11% マネーキャリア
5 年運用成績騰落率 +197.25%(年換算高水準) 投信ライブラリ同期間、S&P500指数利用例などでは比較的安定成長傾向
コスト・手数料構造高め(販売手数料・信託報酬・運用コスト)低コスト型が主流、信託報酬が抑えられている
税・運用効率分配金ごとに課税、複利効果が抑制される可能性あり売却時のみ課税、複利効果を活かせる構造
変動リスク分散はされているが運用判断リスクあり市場平均の動きに沿うため予測可能性も相応にある

この比較からわかるのは、世界のベストも一定水準のリターンを出す可能性があるという点です。ただし、その利回りを達成するには手数料・税金・為替などの諸要因をうまく乗り越える必要があります

第2章|分配金の裏にある“たこ足配当”リスク

「毎月分配で安定した収入がある」と聞くと、一見メリットのように感じます。
しかし実際には、その分配金の中身をよく見ると、必ずしも“利益”だけが原資ではないケースがあります。

この章では「特別分配金(=たこ足配当)」と呼ばれる仕組みを解説します。

特別分配金(=たこ足配当)とは?

通常、投資信託の分配金は「運用で得た利益」から支払われるのが理想です。
しかし運用成績が悪化して利益が出ていないときでも、基準価額(元本)を取り崩して分配金を支払うことがあります。
これが「特別分配金(たこ足配当)」です。

基準価額の下落と元本取り崩しの関係を徹底解説

特別分配金として元本を取り崩すと、一時的に現金は手元に入りますが、取り崩した分だけ投資信託の基準価額(元本)は下がります。

つまり、資産全体としては減少していることになります。この状態が続くと、見た目上は毎月お金が入ってくるように見えても、実際には自分の資産を削って受け取っているだけということになるのです。

基準価額
(元本残高)
利益分配金分配金の内訳分配金支払い後の基準価額
(元本残高)
1月100万円2万円2万円利益分 2万円100万円
2月100万円1万円2万円利益分 1万円 + 元本取り崩し 1万円99万円
3月99万円0円2万円元本取り崩し 2万円97万円
4月97万円-1万円2万円元本取り崩し 3万円(利益はマイナス1万円を含む)94万円

利益が分配金に満たない場合は元本を取り崩して補填しています。

取り崩すごとに基準価額は下がり、資産全体も減少します。

見た目上「毎月2万円入ってくる」ように見えても、実際には資産を削って受け取っている状態です。

特別分配金の落とし穴|分配金に課税され、再投資効率が悪化

もう一つ見落としがちなポイントが、税金の扱いです。

■ インベスコ世界のベストの場合

普通分配金(利益部分)は課税対象となり、20.315%の税金が引かれます。
特別分配金は非課税ですが、元本が減っているため、実質的には損をしているのと同じです。

また、再投資しようとしても税金で目減りしてしまい、複利効果が大きく損なわれるのです。
その結果、分配金を受け取るたびに資産が目減りする構造になりがちです。

■ S&P500などのインデックス投資の場合

  • 多くのインデックスファンドでは分配金を自動で再投資する仕組み(無分配型)です。
  • このため、課税は売却時のみ
    → 長期間の運用で、課税を先延ばしできる=複利効果を最大化できるというメリットがあります。

つまり、
「課税のタイミング」だけで、10年・20年後の資産額に大きな差が生まれるのです。

第章|なぜ銀行・証券会社が積極的に販売するのか

販売側にとって“圧倒的に儲かる商品”

このファンドが“営業現場でよく勧められる”理由は、手数料が高く販売側の利益が大きいこと、そして分配金を含めた利回りが表面上よく見えることにあります。

販売手数料は最大 3.30%(税込)、信託報酬も 年率1.903% と高水準で、

銀行や証券会社にとって利益率の高い商品です。


一方、オルカンやS&P500インデックスファンド(例:eMAXIS Slimなど)は、販売手数料0円・信託報酬0.1%未満 が主流です。

つまり、投資家が同じ100万円を投資しても・・・

比較項目インベスコ世界のベストインデックス投資
販売手数料最大3.3%(約3,300円)0円
信託報酬(年間)約1.9%約0.1%
販売側の利益大きいほぼゼロ

銀行・証券会社にとっては、高コスト投信を売るほど利益が出る構造です。
だからこそ、営業現場では“インデックスよりも積極的に勧められる”のです。

② 「見た目の成績」が良く見える仕組み

パンフレットなどでは「分配金再投資ベースのチャート」が使われ、グラフは右肩上がりに見えます。
このため、投資家は「毎月分配をもらいながら資産も増えている」と錯覚しがちです。

しかしオルカンやS&P500などのインデックス投資では、分配金は自動的に再投資され
その分が雪だるま式に増えていきます。
見た目の派手さはないものの、長期的なトータルリターンではインデックスが上回る傾向があります。

実際には、高い手数料や分配金受け取り時の税金によってリターンが削られており、長期的な資産形成には不利になりがちです。

“売りやすく、勘違いされやすい”構造

高い分配金は心理的に魅力的で、営業トークでも使いやすい要素です。
実際、「毎月2万円の分配金がもらえる」という説明を受ければ、投資初心者は安心感を覚えます。

しかし、オルカンやS&P500のようなインデックス投資では分配金を再投資し、複利で増えるのに対し、

インベスコ世界のベストでは元本を取り崩して分配金を出しているケースも多く、
実質的な資産成長は停滞しがちです。

結論|資産形成にはインデックス、高齢者のキャッシュフロー重視なら選択肢に

最終的に重要なのは、「何のために投資するのか」という目的です。

  • 若年層・中堅層にとっては、将来の資産を増やすことが目的となるため、
     低コストで複利効果が得られるインデックス投資が圧倒的に有利です。
     特にS&P500などのインデックスファンドは、長期的な市場成長をしっかり取り込める点が強みです。
  • 一方で、シニア層や退職後の生活資金を重視する層にとっては、
     毎月の分配金によって安定したキャッシュフローを得るという目的があるため、
     「インベスコ世界のベスト」のような商品も一部選択肢として検討の余地があります

ただし、どちらを選ぶ場合でも、
「分配金=利益」ではなく「資産全体のトータルリターンで判断する」ことが重要です。


 まとめ

目的を明確にすれば、後悔のない投資判断ができる

資産を増やしたい → インデックス投資(オルカンやS&P500など)

分配金を受け取りたい → インベスコ世界のベストも検討可

投資目的別まとめ表

投資目的推奨商品ポイント注意点
若年層・中堅層
資産形成・長期的増加
S&P500などインデックス投資・低コストで複利効果が高い
・長期で資産を最大化
分配金が少なく見た目の“安心感”は薄い
シニア層・退職後
安定キャッシュフロー
インベスコ世界のベスト・毎月分配金が受け取れる
・生活費の補助になる
・高コストでトータルリターンが伸びにくい
・分配金が元本取り崩しの可能性あり
共通の注意点「分配金=利益」と思わないこと
目的に合わせて商品を選ぶ
長期運用ではコストと税金を意識する

 補足

  • 若年層は複利効果を重視し、インデックスで資産を増やすのが合理的。
  • 高齢層は分配金で生活補助を得ることが目的であれば、インベスコのような毎月分配型も選択肢になる。
  • 投資の判断軸は常に「何のために投資するのか」です。
Invesco warning

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