「日銀がまた利上げするかもしれない」
最近、そんなニュースを目にすることが増えました。
現在の日銀の政策金利は1.0%程度です。
しかし、ここにきて追加利上げの可能性が高まっています。
2026年8月14日には、日銀が早ければ9月17・18日の金融政策決定会合で、政策金利を1.25%へ引き上げることを想定しているとReutersが報じました。
さらに、利上げペースを速める可能性も出ています。
では、今後どこまで金利は上がるのでしょうか。
そして、私たちの生活や投資にはどのような影響があるのでしょうか。
今回は、今後の利上げの可能性から、生活・投資への影響、そして私たちが今やっておきたいことまで整理します。
日銀は2.5%まで利上げする?
まず、2.5%という数字は日銀が発表したものではありません。
これは、専門家による予想の一つです。
2026年8月12日、BNPパリバ証券の河野龍太郎氏は、日銀が2026年9月から利上げを加速させ、最終的に政策金利が2.5%まで上昇するシナリオを示しました。
想定されているのは、
- 2026年9月:1.25%
- 2026年12月:1.5%
- 2027年3月:1.75%
- その後:最終的に2.5%
という流れです。
ただし、これはあくまで一つの予想です。
日銀が2.5%への利上げを決定したわけではありません。
一方で、9月の利上げについては市場や金融機関の見方も変わってきています。
野村證券は、これまでの見通しを変更し、2026年9月の利上げをメインシナリオとしました。
そのメインシナリオでは、2026年末に1.25%、2027年末に1.75%を想定しています。
また、より利上げが進むリスクシナリオでは、2026年末1.5%、2027年末2.0%という見通しも示しています。
つまり、現時点では、
「9月に1.25%へ利上げする可能性が高まっている」
これはかなり意識しておいた方がよさそうです。
しかし、
「最終的に2.5%になる」
というところまでは、まだ決まっていません。
利上げすると生活はどうなる?
では、実際に金利が上がると私たちの生活にはどんな影響があるのでしょうか。
インフレにはどう影響する?
まず気になるのは物価への影響です。
基本的に利上げはインフレを抑える方向に働きます。
金利が上がる
↓
お金を借りにくくなる
↓
消費や設備投資が減る
↓
景気の過熱を抑える
↓
物価上昇を抑える
という流れです。
さらに、日本の場合は円高につながる可能性もあります。
円高になれば、海外から輸入する商品やエネルギーなどが安くなります。
そのため、円高も物価を抑える要因になります。
ただし、利上げを急ぎすぎると景気を冷やしてしまいます。
日銀にとっては、
「インフレを抑える」
「景気を悪化させない」
この2つのバランスが重要になります。
景気にはマイナス?
基本的には、利上げは景気にとってマイナスです。
企業はお金を借りるコストが上がります。
個人も住宅ローンなどの負担が増えます。
その結果、
- 個人消費が減る
- 設備投資が減る
- 住宅購入が減る
- 企業の利益が減る
といった影響が出る可能性があります。
ただし、利上げできるということは、日本経済がある程度の金利上昇に耐えられる状況になっているとも考えられます。
そのため、問題は利上げそのものよりも「利上げのスピード」です。
ゆっくりした利上げなら、景気への影響も比較的抑えられます。
一方で、短期間に何度も利上げをすれば、景気悪化のリスクが高まります。
住宅ローンは負担増
政策金利が上がると、銀行の貸出金利にも上昇圧力がかかります。
そのため、変動金利型の住宅ローンでは返済負担が増える可能性があります。
例えば、
日銀が利上げ
↓
銀行の金利が上昇
↓
住宅ローン金利にも影響
↓
毎月の返済負担が増える
という流れです。
ただし、政策金利が0.25%上がったからといって、住宅ローン金利も必ず0.25%上がるわけではありません。
銀行ごとの金利設定や契約内容によって変わります。
そのため、住宅ローンを利用している人は、自分の金利がどの程度上昇すると返済額がいくらになるのか確認しておくと安心です。
預金金利にはプラス
一方で、利上げにはメリットもあります。
それが預金金利です。
金利が上昇すれば、普通預金や定期預金の金利も上昇しやすくなります。
これまでの日本では、銀行に預けていてもほとんど利息がつきませんでした。
しかし、金利のある時代になれば、現金を持っていることにも少しずつ意味が出てきます。
つまり、
「借りている人にはマイナス」
「預けている人にはプラス」
という面があります。
日本株への影響は?
利上げと聞くと、「日本株にはマイナス」と考えがちです。
しかし、実際にはそう単純ではありません。
利上げによるマイナス要因がある一方で、海外投資家から日本株への資金流入が増える可能性もあります。
企業にとっては逆風
まず、金利上昇は企業にとってマイナスです。
金利が上がる
↓
借入コストが上がる
↓
企業の利益を圧迫する
↓
株価にマイナス
特に、借入金の多い企業は影響を受けやすくなります。
また、不動産やREITも注意が必要です。
金利が上がると資金調達コストが増えます。
そのため、不動産関連株やREITには逆風となりやすいです。
一方で、銀行や保険などは恩恵を受ける可能性があります。
特に銀行は、貸出金利の上昇によって収益が改善する可能性があります。
つまり、利上げでは業種によって明暗が分かれます。
海外から日本株への資金流入も
ここで重要なのが、海外投資家の存在です。
日本株の売買では、海外投資家の影響が非常に大きくなっています。
そのため、海外マネーが日本株に入ってくるかどうかは、株価を考えるうえで重要なポイントです。
日本の金利が上昇すると、これまでより日本の金融資産の魅力が高まります。
すると、
日本の金利上昇
↓
日本の債券などの利回り上昇
↓
円建て資産の魅力が高まる
↓
海外から日本への資金流入
という動きが起こる可能性があります。
実際、利上げによって日本の金利が相対的に高くなれば、円建て資産を狙った海外資金が流入しやすくなるとの見方があります。
また、海外投資家が日本株を買うことで、株価を押し上げる要因にもなります。
円高も海外投資家にはプラスになる場合がある
さらに、円高の影響もあります。
例えば、
1ドル=160円
↓
1ドル=140円
となったとします。
日本株の株価が変わらなくても、海外投資家から見れば円建て資産のドル換算価値は上昇します。
そのため、円高と日本株の上昇が組み合わされれば、海外投資家にとっては高いリターンを得られる可能性があります。
一方で、円高はトヨタなど輸出企業にとっては逆風です。
海外で稼いだ利益を円に戻したときの金額が減るからです。
そのため、円高は日本株全体に一律のマイナスではありません。
輸出企業にはマイナス。
内需企業には相対的に追い風。
という違いも出てきます。
利上げだから日本株が下がるとは限らない
利上げによって、
- 企業の借入コスト上昇
- 不動産・REITへの逆風
- 高PER株への逆風
- 円高による輸出企業への逆風
といったマイナス要因があります。
このように考えると、
「日銀が利上げする」
↓
「日本株が下がる」
と考えがちですが、そうとはは限りません。
一方で、
- 銀行・保険などへの追い風
- 預金・債券など日本資産の魅力向上
- 海外投資家からの資金流入
- 円高による海外投資家の円換算リターン改善
といったプラス要因もあります。
したがって、今後の日本株は「利上げだから売り」と単純に考えるのではなく、どの業種に資金が向かうのかを見ることが重要です。
特に、海外投資家が日本株をどの程度買い続けるのかは、今後の日本株を考えるうえで重要なポイントになりそうです。
実際、海外投資家は日本株の方向性を左右する存在であり、グローバルなリスク選好が高まれば日本株に資金が流入し、逆にリスクオフになると資金が流出しやすい構図があります。
そのため、今後は「日銀の利上げ」だけでなく、「円相場」と「海外投資家の動き」もセットで見ておきたいところです。
米国株はどうなる?
日本の利上げで、米国株にもいくつか影響が考えられます。
円高による影響
まず気になるのが「円高」です。
日本の利上げに加えて、アメリカが利下げを進めれば、日米の金利差が縮小します。
その結果、円高が進む可能性があります。
円高になると、すでに持っている米国株の円換算評価額は下がります。
一方で、これから米国株を買う場合は有利です。
例えば1ドル=160円より140円の方が、同じ10万円でより多くのドルを購入できます。
つまり、
「円高=保有している米国株にはマイナス」
「円高=これから買う米国株にはプラス」
ということです。
米国株そのものへの影響
日本の利上げが、米国企業の業績を直接悪化させるわけではありません。
ただし、日本の金利が上昇すると、日本の債券や株式などの魅力が高まります。
その結果、世界の投資資金が日本へ向かい、米国株への資金流入が弱まる可能性はあります。
とはいえ、米国株の値動きを決めるのは、基本的にアメリカの金利や企業業績、景気の方が重要です。
そのため、日本の利上げだけを理由に米国株が大きく下落すると考える必要はありません。
長期投資ならどうする?
長期で米国株を積み立てているなら、円高を必要以上に恐れる必要はありません。
円高になれば保有資産の円換算額は下がります。
しかし、その分だけ米国株を安く買えます。
したがって、長期投資では為替を予想して売買するよりも、円高・円安の両方を経験しながら淡々と積み立てることが重要です。
私たちは何をすればいい?
ここまで見ると、
「利上げが怖いから投資をやめよう」
と思うかもしれません。
しかし、長期投資をしているなら、慌てて投資方針を変える必要はないでしょう。
むしろ大切なのは、金利が上がっても困らない家計を作ることです。
生活防衛資金を確保する
次に、現金をある程度残しておきましょう。
利上げによって景気が悪化すれば、株価が大きく下落する可能性もあります。
そんなときに現金があれば、株を慌てて売る必要がありません。
住宅ローンの金利上昇の負担も吸収することができます。
投資を続けるためにも、生活防衛資金は重要です。
積立投資は淡々と続ける
そして、長期投資なら積立を続けることも大切です。
円高になると、米国株の円換算価格は下がります。
しかし、見方を変えれば、円高は米国株を安く買えるタイミングでもあります。
株価が下落しても、毎月一定額を積み立てれば、安い価格でも買い続けられます。
そのため、短期的な為替変動だけを見て投資を止める必要はありません。
ポートフォリオを確認する
最後に、自分の資産が金利上昇に弱くなっていないか確認しましょう。
例えば、
- REIT
- 不動産関連株
- 借入金の多い企業
- 高PERのグロース株
などが大きく偏っていないか確認します。
逆に、銀行株などは利上げが追い風になる可能性があります。
重要なのは、
「利上げだから株を売る」
ではありません。
自分がどんな資産を持っているのかを確認することです。
まとめ
2026年8月現在、日銀の政策金利は1.0%程度です。
しかし、追加利上げへの警戒感は強まっています。
Reutersは8月14日、日銀が早ければ9月17・18日の会合で1.25%への利上げを想定していると報じました。
また、市場では9月利上げの可能性が高まっています。
さらに、専門家の中には、今後も利上げが続き、最終的に2.5%まで上昇する可能性を指摘する声もあります。
ただし、2.5%はあくまで専門家の予想です。
日銀が2.5%への利上げを決定したわけではありません。
利上げが進めば、住宅ローンには負担増となります。
一方で、預金金利にはプラスです。
また、インフレ抑制にはつながりますが、景気にはマイナスとなります。
投資では、日本株の中でも銀行などには追い風です。
一方、不動産やREITには逆風となる可能性があります。
米国株では、円高になれば円換算の資産価値が下がる可能性があります。
しかし、長期投資をしているなら、短期的な値動きだけで投資方針を変える必要はありません。
私たちがやることはシンプルです。
生活防衛資金を確保する。
自分のポートフォリオを確認する。
そして、長期投資なら淡々と積立を続ける。
金利が上がる時代だからこそ、「金利が上がっても困らない家計と資産形成」を作っておくことが大切です。




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