キオクシア株はなぜ急落したのか
キオクシア株は、2026年6月22日に終値112,700円を記録し、上場来高値を更新しました。
しかし、その後は急落します。
2026年7月24日の終値は56,010円でした。
わずか約1か月で56,690円(約50.3%)も下落したことになります。
現在は5万円台で推移しており、
「もう終わった銘柄なのか。」
「今が買い時なのか。」
そう考えている方も多いのではないでしょうか。
ただ、今回の急落は業績悪化だけが理由ではありません。
半導体株全体の調整や大株主の売却、特許訴訟への懸念など、複数の要因が重なった結果だと考えられます。
そこで今回は、キオクシア株が急落した理由と、今後の株価について私なりの考えをまとめます。
キオクシア株が急落した3つの理由
① 半導体株全体の調整
まず一つ目は、半導体株全体の調整です。
キオクシアが急落する少し前から、世界の半導体株には利益確定売りが広がっていました。
特に市場へ大きな影響を与えたのが、韓国の半導体大手SKハイニックスです。
2026年7月14日、SKハイニックスの株価は1日で約15%下落しました。
AI関連銘柄への過熱感から利益確定売りが広がり、市場全体に衝撃が走りました。
また、米国市場でも半導体関連株が売られ、NASDAQも軟調な展開となります。
その結果、日本の半導体株にも売りが波及しました。
もちろん、キオクシアだけが売られたわけではありません。
東京エレクトロンやアドバンテストなど、多くの半導体関連株が調整しています。
さらに、キオクシアは短期間で株価が2倍近くまで上昇していました。
そのため、利益確定売りが集中しやすい状況だったことも急落につながったと考えられます。
② 大株主による株式売却
次に、大株主による株式売却です。
東芝は2026年6月22日から7月15日にかけて、市場で保有株を売却しました。
その結果、保有比率は16.10%から15.10%へ低下しています。
また、筆頭株主だったベインキャピタルも保有株の売却を進めました。
市場では、「まだ売却が続くのではないか」という警戒感が広がります。
もちろん、大株主が売却したからといって、会社の価値が下がったわけではありません。
しかし、株式市場では需給も重要です。
売り物が増えれば、それだけ株価は下がりやすくなります。
今回の急落には、この需給悪化も大きく影響したと考えられます。
③ 特許訴訟への懸念
三つ目は、米国での特許訴訟です。
2026年7月16日、米テキサス州西部地区連邦地裁の陪審は、キオクシアが米衛星通信会社Viasat(バイアサット)の特許を侵害したと判断しました。
侵害が認定されたのは、NANDフラッシュメモリそのものではありません。
データの誤りを検出・訂正するECC(誤り訂正技術)に関する特許です。
陪審は、キオクシアに約2億2,900万ドル(約370億円)の損害賠償を支払うよう評決しました。
370億円という数字だけを見ると、大きなインパクトがあります。
そのため、市場では不安が広がりました。
ただし、この裁判はまだ確定していません。
キオクシアは侵害を否定しており、控訴する方針を示しています。
最終的な判断や賠償額が変わる可能性もあります。
とはいえ、株式市場は不透明感を嫌います。
今回の訴訟も、株価急落の一因になったと考えられます。
業績は本当に悪いのか
ここまで読むと、
「業績が悪くなったから株価が下がったのでは?」
と思う方もいるでしょう。
しかし、私はそうは考えていません。
実際、AI向けデータセンターへの投資は世界中で続いています。
それに伴い、高性能SSDの需要も拡大しています。
その中核となるNANDフラッシュメモリを製造しているのがキオクシアです。
つまり、AI市場の成長はキオクシアにとって追い風と言えます。
もちろん、NANDメモリ市場は景気の影響を受けやすく、好不況の波があります。
そのため、業績も毎年右肩上がりになるわけではありません。
それでも、会社の成長ストーリーが崩れたとは私は考えていません。
今回の下落は、業績悪化というよりも、市場全体の調整や需給悪化が重なった結果だと考えています。
キオクシア株の今後を左右するポイント
今後の株価を考えるうえで、私が注目しているポイントは3つあります。
① AI市場は今後も拡大するのか
まずはAI市場です。
ChatGPTをはじめとした生成AIの普及により、世界中でデータセンターへの投資が続いています。
AIは膨大なデータを処理するため、高性能SSDが欠かせません。
そのSSDに使われているのが、キオクシアの主力製品であるNANDフラッシュメモリです。
つまり、AI市場が成長するほど、キオクシアにも恩恵が期待できます。
もちろん、一時的にAI関連株が調整することはあるでしょう。
しかし、私は10年単位で見ればAI市場は今後も拡大すると考えています。
② NANDメモリ価格の回復
次に注目したいのが、NANDメモリ価格です。
キオクシアの業績は、NAND価格に大きく左右されます。
2024年に底値を付けたあと、価格は回復傾向が続いています。
現在、512Gb TLC NANDの契約価格は1個あたり約3〜4ドルで推移しており、市場では底堅い動きが続いています。
今後、AI向けSSDの需要がさらに伸びれば、価格上昇につながる可能性があります。
逆に、供給過多になれば価格は下落します。
そのため、キオクシアへ投資するならNAND価格の確認は欠かせません。
私が参考にしているのは**TrendForce(DRAMeXchange)**です。
DRAMやNANDの契約価格やスポット価格を定期的に公開しており、半導体メモリ市場の流れを把握できます。
また、楽天証券やSBI証券の半導体レポートでも、TrendForceのデータがよく引用されています。
株価だけを見るのではなく、NAND価格にも注目すると、キオクシアの業績を予測しやすくなるでしょう。
③ 半導体セクター全体の流れ
最後は、市場全体の動きです。
キオクシアだけが好調でも、半導体株全体が売られれば株価は下がりやすくなります。
反対に、NVIDIAやSKハイニックスなど世界の半導体株が上昇すれば、キオクシアにも資金が流入しやすくなります。
個別企業だけでなく、半導体セクター全体を見ることも大切です。
キオクシア株は買い時なのか
2026年7月24日の終値は56,010円でした。
6月22日に付けた最高値112,700円から見ると、
56,690円、約50.3%下落しています。
半値まで売られたことで、「そろそろ買い時では?」と考える投資家も増えているでしょう。
一方で、短期的には注意も必要です。
大株主の売却や半導体株全体の調整が続けば、さらに下落する可能性もあります。
そのため、短期目線では値動きの大きさを覚悟しなければなりません。
一方で、長期目線なら考え方は変わります。
AI市場の拡大やSSD需要を考えれば、将来性は十分ある企業です。
株価だけを見て「終わった企業」と判断するのは早いでしょう。
私の考え
私は、今回の急落でキオクシアの成長ストーリーが崩れたとは思っていません。
AI市場は今後も成長し、SSD需要も長期的には増えていくと考えています。
そのため、将来性は十分ある企業だと思います。
ただし、私は今すぐ買うつもりはありません。
私の投資の軸は、あくまでインデックス投資です。
個別株はポートフォリオのごく一部しか保有しません。
仮にキオクシアへ投資するとしても、位置付けは「コアのコア」です。
そして、私が本格的に検討するのは株価が1万円を切る水準です。
もちろん、そこまで下がる保証はありません。
しかし、半導体株は景気や市場心理によって大きく動く銘柄です。
だからこそ、焦って飛び付くのではなく、本当に割安だと思える水準まで待つことも、一つの投資戦略だと考えています。
まとめ
キオクシア株は、2026年6月22日に付けた最高値112,700円から、7月24日には56,010円まで下落しました。
わずか約1か月で、株価は約50%も下落したことになります。
今回の急落は、
- 半導体株全体の調整
- 大株主による株式売却
- 特許訴訟への懸念
この3つが重なったことが大きな要因です。
一方で、AI市場の拡大やSSD需要の増加という長期的な追い風は変わっていません。
今後は、
- NAND価格(TrendForce)
- 半導体株全体の動き
- 次回決算
- 大株主の売却動向
この4つをチェックすることで、キオクシアの今後を判断しやすくなるでしょう。
私自身は、投資の軸をインデックス投資に置いています。
そのため、現時点で積極的に買う予定はありません。
ただし、1万円を切るような水準まで下落した場合は、長期目線で投資を検討したいと考えています。
短期的な値動きに振り回されるのではなく、自分の投資ルールを守ることが、長く資産形成を続けるコツだと思います。

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